10月20日(火)銀座「吉水(よしみず)」B1Fかくえホールにて、「テレビさよならクラブ」と称するサークルが開かれ、25人ほどの老若男女が参加した。講師であるテレビなし旅館の女将中川誼美(よしみ)さんを囲みながら、会場に集まった人たちはテレビやメディアに対するそれぞれの考えを語りあった。
主宰者は、NPOアジア太平洋資料センターPARC(パルク)の高橋真理さん
「去年(2008)11月初旬に自由学校の活動内でテレビのない宿「吉水(よしみず)」を知しり、それ以来女将の中川さんの協力を得るようになって今回もこうした催しを吉水で行い、お話をしていただくことになりました。この「テレビさよならクラブ」は正式に立ち上がったわけではなく、自由学校のなかのサークルという段階です。今日は女将の中川さんのお話を聞きながら、皆さんそれぞれの考えを寄せ合ってこれからのことを話し合っていきたいと思います」と、この日の趣旨を語った。
講師:吉水女将 中川誼美(よしみ)さん
1970年ごろからテレビを見なくなりました。新聞も嘘が多いのであまり見ません。自分の肌と目でみて考えるようにしています。天気予報も見ません。朝、空を眺めながら風向きを感じて、その日の天気を予想するんです。それで十分なんです。
テレビのニュースは同じことを何回も繰りかえします。良いニュースは少なくて、殺人事件や凶悪事件は何回も何回も放送します。一度テレビ局の人に、もっと良いニュースも放送してよと言ったら、良いニュースは売れないからあまり放送できないって言うんですよ。新聞はもっとひどい。広告だらけで、嘘の記事も多い。
パソコンもほとんど見ません。旅行や知らないところへいくときにも何も調べないで、そのときに自分で時刻表を見たり駅員さんに聞いて動くんです。
とにかく電磁波は嫌いです。すべて身体に有害です。
吉水の客室にはテレビや室内電話もないですが、お客様には喜ばれています。今日も客室をみなさんに見せるつもりでしたが、満室状態なのでお見せできないのが残念です。
この中で、自宅にテレビのない方いらっしゃいますか? -2人が手を上げる-
それは良い暮らしをしてらっしゃるわ。
食材を仕入れるときは自分で車を運転して農家まで行くんです。夕方になるとあたり真っ暗になる大豆農家に行きましたら、居間に大型テレビがあってビックリしました。
そこにご家族みんな集まって一緒にお話しましたが、会話中テレビが気になって余計見てしまったんです。
やはりテレビは生活をおびやかしています。
テレビというのは受信するだけで、自分が表現できないですから、言われたことにうなずくことしかしなくなる。人に言われなくても、自分で考えて何でもできるようにならないといけませんね。
そんな私がテレビに出てしまったんです。でもその番組も見たことありません。
取材をしにくる人たちはテレビ局の人じゃなくて、番組制作会社の人たち。取材の態度もおかしい人が多く、NHKなんかはとても偉そうに、わずか数分の映像作るのに何時間もかけます。テレビの仕事する人たちは病人のような顔した人が多いわ。取材を受けても、その内容を脚色されないように気をつけてます。
旅館の建築について
内装の素材に関してもすべて自然素材を使いました。
責任者の方は本当の職人肌の方で、現場内では職人さんたちにタバコを吸わせなかったんです。壁に穴を開けたり塗ったりしてる最中にそのなかに煙が入るからダメだと。10階建ての建築現場の外に大きな灰皿を置いて、吸いたい人はそこで吸ってましたから当時は近所の人たちが珍しがっていました。
参加者から
-23歳、女性(初参加)-
子供の頃からテレビはニュースぐらいしか見なかったんですが、学校ではバラエティとドラマを見てないと友達と会話できないので、無理に見ていたんです。それがストレスになって余計にテレビが嫌いになりました。
今の職場は社内でテレビを着けっ放しているんですが、やっぱり嫌です。
女将:あらぁ~、それはひどい会社だわぁ。消せないの?どうしてもダメなら訴えたらどうかしら。虐待と一緒よ。
-23歳、女性(初参加)-
映像制作の学校に行っていますが、こんど番組制作会社に就職します。今日は制作する側として、反対の意見を聞きたくて参加しました。
女将:そうなの。そうやっていろんな意見を聞きながら番組を作ろうとするあなたみたいな人がやってくれればきっと良い番組ができるわ。でも、そういうあなたの上司には変なおじさんたちが沢山いて、邪魔をするんでしょうね。でも頑張ってくださいね。
-パルク 高橋真理-
先日、山口県の田ノ浦で日本で最後といわれる原子力発電の開発現場を見てきました。※祝島HP 上関原発問題 上関原発 最新情報 上関原発はごめんだ
中国電力は祝島住民の強い反対運動を無視して工事を始め、トラブルが多発してます。でもメディアはそれを報じていないんです。だから余計気になりその情報を探すために、ふだん見ないテレビを見るようになってます。
女将:そうなんですか。私もあの島に行ったことがあるけど、瀬戸内海でもほんとに自然が豊富できれいなところですから、地元の人たちは反対しますよねぇ。私だってあのきれいな島をそのままにしておいてほしいと思うわ。
最後に -女将 中川誼美さん-
この先どうするかということですけど、こうして話し合って結論をだしてハイ終わりではつまらないわ。時々こうやってみんな集まって、いろんな意見や体験を話し合う。それを続けることが重要なんじゃないですか。少なくとも今こうやってみんな集まっている時間はテレビを見ていないわけですから、とても良い時間を共有できるんですよね。互いにふれあう事がとても重要です。
以上をもって今回の「第3回テレビさよならクラブ」は閉会した。
女将の中川さんはとても品の良い話し方をされ、強い言葉でありながら人への優しさと抱擁が溢れている。尊敬という言葉の似合う方だ。電磁波は嫌い、身体に悪いといわれて共感し、懐のデジカメを出せずに写真は撮ってない。写真がないというのもこのサークルの趣旨にあってると思う。
「銀座吉水」は2009年5月、ホテルや旅館など観光施設を対象とした北欧発の国際環境認証「グリーンキー」をアジア第1号ととして受賞した。
銀座にありながら玄関から木の匂いが香るたたずまいで、10階建てとはきずかない雰囲気。料理から内装まですべて自然素材で徹底している。宿泊には朝食のみついている。夕方5時から2階のレストランでオーガニックな伝統食のコース料理をいただけるが完全予約制。地下1階には30人ほど入れる「かくえホール」があり、グランドピアノが置かれている。自然を追求した建築なのでバイオリンの演奏には不向きという。
11月17日(火)夕方6時から「かくえホール」に於いて、ドキュメンタリー映画「根の国」の上映会を催す。太陽と水と空気で創り出されたすべての生物はみな土に戻って、土を肥やす。私たちの知らない土の中の生命の世界を確かな映像で描いた、神秘的で詩情にあふれた作品。
会費は3,000円で、食事と上映会、製作者菊池文代さんを囲んでのお話があります。
銀座吉水(よしみず) http://yoshimizu.com/ginza/stay.html
03-3248-4432
その後自宅に帰ってラジオをつけた。夜9時ごろだから、いつもならとりあえずテレビをつけているが、「テレビさよならクラブ」の影響だろう。私は朝目ざめると枕もとのリモコンでラジオをつける。朝の静かな音楽やニュースを聞きながら体を起こし、一気に水を飲んで目を覚まし、メールをチェックしながら一日が始まる。
テレビを見るということは視線や体の動きを止めることだから他のことはできなくなる。こうしてモニター内で文字を打つこともできない。ラジオや音楽は体勢にとらわれないので何でもできる。私にとってのテレビはBGMのついでのようなもので、つまらない映像やニュースになると迷わず切ってしまう。
現実に社会生活の中でテレビを全く見ないと決めつけるも勇気がいることだが、テレビがなくて困ることはないだろう。
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