湾岸ハートプレイス Coastal Heart Place

「帰ってきたよ!」と日本に帰ってこれる日を/横田夫妻

10月12日(月)杉並公会堂で「日本文化チャンネル桜」支援講演会が行なわれ、拉致被害者家族の横田茂・早紀江さん夫妻が拉致問題の現状を話されました。これは国家の主権に関わる事件であり、決して他人事ではない国民全体の問題です。時間と共に風化させてはいけない問題として、生の声をお伝えします。
 
 

横田茂さん 10月12日杉並公会堂

横田茂さん 10月12日杉並公会堂


横田茂さん
 
皆さんこんばんは
 
私は今76さいですけれど、中学一年生のときに終戦をむかえまして、今まで正しいとされていたことが全て間違えであると否定されました。
 
日本さえ悪いことをしなければ世界は平和だというようなことを言われるようになり、何か問題があってもお金で解決すれば良いというふうになった。それが積み重なってこういうことになったんじゃないでしょうか。
 
めぐみが連れ去られて32年たちます。
昨日、めぐみの同級生が集まって誕生日会をしてくれました。
 
めぐみが拉致されたのは部活の帰りでしたが、あともう5分余分に練習して遅く帰っていれば助かっていただろう。でもそうなると別の人が連れ去られただろうということで、皆さんとても深刻に考えておられました。
 
なぜ長いこと解決できないかと言うと、
北朝鮮のスパイが入ってきても、スパイ防止法というのがないわけですから、自由に出入りできてたんです。
拉致問題というのはほんとはずいぶん昔から分かっていたわけです。
 
13人が52年と53年に拉致され、アベックが拉致されたのは53年7月と8月。曽我さんもその頃拉致されています。
 
昭和55年には産経新聞が「外国の諜報機関が関わっているのではないか」と報じましたが、他社はどこも報じなかった。マスコミは報じない、親としてもここで騒げば子供が殺されるのではないかと思い、黙っていた。
そうすると国民が知らないから救出活動も起きない。政府は北朝鮮が気分を害すると国交正常化が進まないということで、何もしてくれなかったわけです。
 
めぐみに関しては、各新聞が報じてくれて国会でも橋本総理に質問されました。それに対して橋本総理は、現在調査中と答えていました。その頃から国民の関心が高まっていきました。
 
北朝鮮はミサイルと核実験をやり、世界が北朝鮮に注目し始めました。そうしたなかで日本も政権交代がありましたから、かなりの変化があることを期待しました。
 
この問題を放置するということは、領土問題においても他国が日本の島の一部に対して領有権を主張した場合に、離れ小島だからそれぐらいはいいということにも繋がるわけです。
ミサイルが飛んでくるかもしれないから、それを恐れて何もいわないというのであれば、政府は日本を守ることはできません。
 
 
横田咲江さん
横田早紀江さん

横田早紀江さん


 
長い間拉致被害者の救出にご支援いただきましてありがとうございます。
 
その間、総理大臣が7人かわりまして、その都度総理官邸へ行って「お願いします、お願いします」と言ってきたわけです。戦争を放棄して生活が豊かになったこの国で、ほんとにこんな恐ろしいことがおきたんです。
 
なぜ連れ去られたのかその理由はわかりませんけれど、暗い日本海を泣き叫びながらみんな連れて行かれたんです。
その間親たちは、何があったのか、どうしたらいいのか分からず、毎日気が狂うような本当に苦しい毎日を過ごしています。
 
助けてほしい、早く助けてほしいと子供たちは願っているでしょう。でも、助けてあげられない、何もしてあげられない。
連れて行かれたら、この人と結婚しなさいと言われれば、「はい」。朝鮮語を勉強しなさいと言われれば、「はい」。この人に日本語と習慣を教えなさいと言われれば、「はい」。そう言うしかない状況に置かれるんです。
どうして政府は怒らないんでしょうか。
 
こんな恐ろしいことが政治家の子供に対して行われたら、どういう交渉をされるんでしょうか。
もし小泉さんが北朝鮮に行かれたときに、ご自分の息子さんが拉致されていたらどのような交渉をされたのでしょうか。死んだんですよといわれて、はいそうですかそれは残念ですといって引き下がれるんでしょうか。「なんてことをするんだ!」といって首根っこでも捕まえて、なんとしてでも取り返そうとするのが本当の父親の姿じゃないでしょうか。
 
ひとみさんが帰ってこられてお話してくれました。招待所に連れて行かれてめぐみちゃんと会い、「今日からあなた達はこれを勉強しなさい」と、二人一緒にいわれ、実地指導から難しいことをたくさん勉強させられました。めぐみが拉致された翌年に年上のひとみさんが来たので、お姉さんと呼んでいたそうです。
 
「階段を歩いているときに突然数人の男達にはがいじめにされて連れて行かれ、そして袋に詰められて、運ばれてここまで来たのよ、とても怖かったのよ」と、ここまできた時のことをひとみさんが言うと、めぐみは「学校から3人で帰ってたのよ。それから一人づつ分かれて自分ひとりになって、角を曲がったところで男の人たちがいて、その人たちに連れてこられた」と言ったそうです。
 
その男性が工作員なのか、日本にいる協力者なのかまったくわかりません。また、政府がどこまで情報を得ているかも全くわかりません。私達は本当に国を信じていいのかと思いながら頑張ってきました。
 
皆さんのお子さんや家族が拉致されて、「どうか助けてください」と政府に助けを求めても助けてくれない、それが拉致問題なんです。皆さんの席から、「こんな大変な問題にどうして黙っていられるんですか、私の息子や娘を助けてください」と言うようになるかも知れないのが拉致問題です。
 
私達には小さな力しかありません。どうしていいかわかりませんけれども、根本的な善と悪をきっちり見極めて皆さんと一緒になって頑張っていかなければいけません。
どうか皆さんのお力とご支援をお借りして、一日も早く一人でも多く、たくさんの人がタラップから降りて、「帰ってきたよ」と日本に帰ってこれる日を迎えてください。これからもよろしくお願いします。
 
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政権交代にかすかな望みをかけた横田茂さん。
友愛の海、日本海は日本だけのものではない、という現政権に果たしてこの想いは届くのか。
日本人として、あらためて国家の主権を見つめなおしたい。
 
 

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